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異説クラブ

青レーベルは全てジャズと呼ばれていた。

カルメン・ジョーンズ

音楽はビゼーのものをほぼ使用しており、それにオスカー・ハマースタインⅡ世が英語の歌詞をつけている。メリメの小説を原作とするビゼー作曲の1875年初演のオペラ『カルメン』を基にした、1943年初演のブロードウェイミュージカル『カルメン・ジョーンズ』を映画化したもの。
舞台が第二次世界大戦中のアメリカに移され、出演者全員がアフリカ系アメリカ人で構成されている。カルメンの相手役のジョーは、1956年に『バナナ・ボート』が世界的な大ヒットとなるハリー・ベラフォンテが演じていますが、カルメン・ジョーンズを演じた薄幸の美女ドロシー・ダンドリッジ(アフロ系のスター女優の走りだった彼女の痛ましい人生は、川本三郎の『忘れられた女神たち』に詳しい)は本作でタイトルロールを好演し、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。ゴールデングローブ賞最優秀作品賞受賞。歌は吹き替えマリリン・ホーンが歌うカルメン。ビゼーのメロディはしっかり使いまわし、歌詞の内容もオペラからかけ離れたものになっていないようでしたが、歌唱法は非オペラ的。「ジプシーの歌」では、R&Bっぽく歌い。"Beat... The rhythm on the drums"といった英語のフレーズが原曲のメロディにとてもよく合っていた。映画全体としては、同時期のミュージカルコメディとは一線を画す、ボクシングの試合に現れるベラフォンテのクライマックスでの豹変、迫力。オペラとは違う殺し方、そしてカルメンが目を開けたまま死んでいく、シリアスドラマミュージカルに仕上がっており、総天然色の映像が美しい。落下傘工場やカルメンの生まれ故郷の風景など、たぶん南部だと思うのですが、野外ロケを活かして、アメリカの風土色を出していたのが、邦画「カルメン故郷に帰る」と重なって印象に刻まれるだろう。オールド・ムービーと言わず、一見の価値ありだと思います。


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